【数十年ぶりの千葉城】ノスタルジーをかきたてる唯一無二の郷土博物館

千葉が誇る名城?

実家が千葉にあるんですが、今は誰も住んでいません。といっても放っておくわけにもいかないので、たまに様子を見に行っています。

人が住んでいない家は傷むのも早いといいますし、そもそも古い家なのでまめに風を通さないと、あっという間に老朽化してしまうかもしれません。気がつくと廃墟みたいになっていたなんてことがあったら大変です。

ここ最近は、少し前に台風があったりと気になることが多く、わりと頻繁に帰るようにしています。ちなみにニュースを見ていると、千葉がとんでもないことになっていたので、これは瓦の一枚や二枚、吹き飛ばされていてもおかしくはないと覚悟していましたが、庭の木が倒れていたくらいで、特に大きな影響はなさそうでホッとしました。

そんなこんなで、特になにがあるわけでもない実家ですが、近所を歩いていると、ふと以前は意識したこともなかった郷愁にとらわれることがあります。これが年を取ったということなのでしょう。

特に強烈なノスタルジーをかきたててくるのが、『千葉城(別称:亥鼻城)』です。正式には『千葉市立郷土博物館』ですが、その外見的特徴から『千葉城』の名称で親しまれています。

郷土博物館は古代から中世にかけて下総国を中心に活躍した千葉氏の居城という伝承が残る亥鼻城跡に建てられた博物館で、千葉市の歴史や千葉氏に関する調査研究を主なテーマとしています。(「千葉市 よくある質問と回答」より引用)

郷土博物館ですが、見た目は5階建ての立派なお城です。ガチの城ファンの間では、歴史的根拠のない天守閣を批判的にとらえる向きもあるようですが、ガチじゃない僕にとっては、ただカッコイイ建物です。

昔はプラネタリウムもあったんですが…

確か子供のころは、50円くらい入館料を払っていたような気がしますが、今は無料で入館できます。懐かしさでうるうるしながら、何十年かぶりに千葉城を見学してみることにしました。

大人になってからは、はじめて入館する千葉城でしたが、意外に狭くてビックリしました。子供の頃は一日中かくれんぼしていられるくらい広かったはずなのに。といっても5階建てだし、地方の郷土博物館としてはかなり大きいほうだと思いますが。

展示物の多くは子供のころ見たそのまんま、何も変わっていません。古い甲冑や土器などを眺めていると、おぼろげだった記憶が色鮮やかに蘇ってきます。

思い出しました。千葉城の最大のウリはプラネタリウムだったはず。しかし残念。もうとっくの昔になくなっていました。実はプラネタリウムがなくなったのは話に聞いて知っていましたが、実際にプラネタリウムがない千葉城を目の当たりにすると、なんとなく寂しいものです。(プラネタリウムは『千葉市科学館』に移ったようです)

それにしても、お城の中にプラネタリウムってギャップがすごい。和洋折衷?といっていいのかわかりませんが、なくなったのは本当に残念です。

あと、昔のことなので少々記憶があやふやですが、映画館もどきみたいなスペースもあったような・・・映画といっても、ほとんどは小学校の道徳の時間に観るような教育教材の映像だったけれど。

上層階に上がると記憶にない展示物が増えてきます。戦前戦後の暮らしを再現したセットだとかは、たぶん比較的最近の展示物だと思います。正直、多少やっつけ感があるような気がしないでもないセットでしたが、それがまた侘びさびを感じさせ、一層胸が苦しくなりました。

ちなみに1階で入館受付をすませて以降、最上階に上がるまで誰ともすれ違っていません。まぁ平日の真昼間で、あんまり人のいない時間帯ではありましたが、BGMもなく、ブーンというエアコンの排気音だけが鳴り響く館内をひとりで歩くと、どうしたって感傷的な気分になりますね。

この侘びさびが郷土博物館の魅力

去来する幼少時の懐かしい思い出を噛みしめながら、天守閣に登ると、なぜか『北斗の拳』のケンシロウが出迎えてくれて、一気に現実へと引き戻されました。

なんでも千葉氏は北斗七星を信仰していたのだとか。北斗つながりでケンシロウが友情出演ってことのようですが、説明を熟読しても、こじつけが強引過ぎてピンときませんでした。

昔は3分10円の望遠鏡があったはずですが、今はすべて撤去されてしまったようです。これも時代の流れなんでしょうか。昔はおおらかだったと、あらためて気づかせてくれます。

ひと通り見て回った感想は、昔と比べて活気がなくなったというか、言葉を選ばずに言うとさびれているなぁと思いました。しかし、そこがいい。郷土博物館はこうでなくっちゃ!古銭や土器しか展示してないのに(刀や掛け軸もありますが)、賑やかでキラキラしてたら、逆にイヤですよね。

多少人を選ぶところもありますが、こういう重苦しく静まり返った空気感が好きな人だって結構いるはず。僕もそのひとりです。また近々訪れて、この静かな空間で物思いにふけろうかと思います。

ディープというほどディープじゃない。隠れた名所というほど隠れてもいない。かといって、もちろんメジャーとはいいがたい。珍しくも、ありふれてもいない、けれどそんな場所だからこそ、いくつになっても安心できるのだと思います。

この記事を書いた人

しめ
  • しめ ( )
  • マーケティング事業部のしめです。仕事以外の時間はほぼすべて猫に費やしています。奴隷のような暮らしを強いられていますが、猫に奉仕する幸せかみ締めてます。ちなみに飼い猫の名前も『しめ』です。

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