【たくあんとバツの日常閻魔帳】臀部への愛があふれ出す奇跡の名作!?

ここ数年で一番感心した漫画が、今回紹介する『たくあんとバツの日常閻魔帳』です。いったいなにに感心したのか?ストーリーでも演出でもなく、もちろん絵でもありません(もちろんって言うのも失礼ですが)。感心したのは作者の心意気に対してです。

たくあんとバツの日常閻魔帳(井谷賢太郎/著 2016年24号~2016年44号)

実はこの作者、単刀直入にいって重度の尻フェチです。尻への情熱を一切隠そうとしない男の中の漢です。作中でも、隙あらば“こんなにも僕は尻が好きなんだ”という気持ちをアピールしてきます。

ちょっと常軌を逸した(褒めてます)尻へのこだわりと愛がにじみ出す作風は、お色気というにはあまりにピンポイントすぎて、エロに飢えた中学生をも困惑させました。そんな伝説的打ち切り漫画、それが『たくあんとバツの日常閻魔帳』です。

一部マニアのハートはがっつり掴んだけれど…

出版不況が叫ばれる中、それでも200万部近い部数を誇る天下の『少年ジャンプ』において、これほど大胆に、奔放に、潔く、自らの性癖をさらけ出すという行為に及んだ作者に拍手を贈りたい気持ちでいっぱいです。要するに200万人に「尻が大好き」と言って回っているようなもんですから。

健康的お色気の範疇に収まる漫画は他にいくらでもあります。お色気の範疇に収まらないような作品だって中にはありました。しかし『たくあんとバツの日常閻魔帳』のように、あまり健康的でなく、ほんのりジメッとしたフェチは前代未聞ではないでしょうか。『少年ジャンプ』50年という長い歴史を紐解いても、初の快挙だと思います。作者の男気と覚悟たるや、お見事としか言いようがありません。

正しい行いと自らが信じているからこその迷いない筆さばきで描かれる、数々の尻はフェティッシュではあっても、決して不快でなく、むしろその揺るぎない姿勢に勇気をもらえた気すらします。

好きなものを好きと言って何が悪い、そんな作者の熱い思いがページの各所からあふれ出し、一部のマニアからは喝采の声が上がりました。しかし、やはり大衆に広く受け入れられることは叶わず、例によって全3巻を持って突き抜けてしまいました。

ジャンプ本誌への復帰をお待ちしてます!

ついつい作者のフェチっぷりばかりに注目しがちですが、内容も決してダメなわけではありません。短い巻数の中でよくまとまっています。

日常を愛するマイペース高校生・九十九多九郎、通称たくあん。
彼は、地獄から来た閻魔の娘・バツと一緒に
地獄の住人”鬼ノ怪”を捕まえる獄卒となった!
悪を追って、暴いて、裁いて、
…そしてバツの命令をキッチリ聞いて、
みんなの日常を守れ!たくあん!
ビビって笑って胸躍る、怪奇コメディファンタジー!!

と、いうのが少年ジャンプ公式サイトによるストーリー紹介です。さすがに公式で尻フェチっぷりをアピールすることはできないんでしょうか。残念です。

“ビビって笑って胸躍る、怪奇コメディファンタジー!!”ってあたり、いろいろつめ込みすぎと思われるかもしれませんが・・・でも、本当にその通りなんです。さらに、もうひとつ付け加えるならミステリー要素もあります。

しかし、この作品に限ってはストーリーや絵よりもまず尻ありきです。とにかく作者の熱い尻への思いに触れて勇気をもらう、それが本作の正しい読み筋だと思います。

作者の井谷賢太郎先生は、現在読みきりなどを手がけているようですが、早くジャンプ本誌に帰ってきてほしいものです。いつまでも待ってます!

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しめ
  • しめ ( )
  • マーケティング事業部のしめです。仕事以外の時間はほぼすべて猫に費やしています。奴隷のような暮らしを強いられていますが、猫に奉仕する幸せかみ締めてます。ちなみに飼い猫の名前も『しめ』です。

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