後世の残したい少年ジャンプの愛すべき打ち切り漫画!!【全3巻以内】

大雪になると聞いて、毎年買うかどうか迷っていたスコップを遂に購入!でも、使用する機会がないことを望みます。

打ち切り漫画にも名作はある!!

突然ですが、いい年してまだ『少年ジャンプ』を毎週読んでます。こういうのってやめるタイミングを見誤ると惰性でいつまでも続いてしまいますね。

30年近く愛読していると、素直に漫画を楽しむ純粋さを失い、作品の内容そのものよりも、ヒットするかコケるか予想するのが楽しくなってきます。予想が当たるときもあれば、当然外れるときもあります。前半に掲載されている作品は人気作品、あるいは編集部的に推したい作品で、後半掲載の常連になると、いわゆる導火線に火がついた状態といえます。これはジャンプの伝統で、もう何十年も変わっていません。

しかし、穿った見方をする読者としては、鉄板の看板作品よりも、今週か、来週か・・・いつ終わってもおかしくない、そんな作品にこそ美学を感じてしまいます。実際に打ち切りの憂き目にあった漫画の中にも不朽の名作として語り継がれている作品も、多くはないけどまぁまぁあります。

というわけで、惜しまれつつも短命で散っていった仇花のような作品群の中から、特に名作と思われるものをご紹介します。ただし、あくまでも個人的な感想なので、誰にとっても名作であるとは限りません。

メルヘン王子グリム(渡邉築/著 2011年12号~2011年30号 単行本全2巻)

■あらすじ
メルヘン王国からやってきたメルヘン王子グリムがが巻き起こすメルヘンギャグ。

あらすじを見ていただくと、おわかりのように、まったくおもしろそうじゃありませんよね。でも、これが意外とハマるんです。あらすじからではわからない細部にこそ光るものがある漫画でした。

ジャンプの中でも対象年齢が低めの漫画でしたが、随所に大人向け、というか大人でないと理解できないギャグが混ざってるんです。どういったギャグかと申しますと、ズバリ、性的なほのめかしです。

くだらなさの中に、人間の性の本質を射抜く鋭い含蓄には、ハッとさせられることも多くありました。子供向けの仮面をかぶっているだけに、不意をつかれて余計に鋭く感じたのかもしれません。

しかし、子供の読者にとっては「なんのことやら?」という印象だったのでしょう。案の定、打ち切られてしまいました。

作者のセンスオブワンダーが、対象とする年齢層とあっていなかったのが敗因と分析できます。

アイアンナイト(屋宜知宏/著 2014年1号~2014年18号 単行本全3巻)

■あらすじ
突然、凶悪な犯罪者が、さらに凶暴な謎の生命体ゴブリンとなって、人々に襲い掛かる。

あらすじを読んでいただくと、特に目新しくもないよくある内容と感じるかもしれませんが、全然そんなことないんです。凶悪な犯罪者が本当に凶悪なんです。例えるなら『闇金ウシジマくん』に登場するヤクザのような・・・

ファンタジーの世界に、堂々とほぼデフォルメされていないリアルヤクザが登場します。逆に少年漫画らしい華がある敵役は一切登場しません。

設定は荒唐無稽なのに、悪人のキャラクターは言葉通りただただ凶悪で凶暴なだけ。しかも妙にリアルで生々しい。必然的に漫画の雰囲気も陰鬱で、救いのないものとなっています。この辺が評価の分かれるポイントでしょうか。

少年漫画として肝心のバトルシーンも、よく言えば戦略重視、悪く言えば地味でした。少なくともスカッとする感じの戦い方ではなかったです。

しかし、子供にとってはマイナスであるこれらポイントも、大人読者に取ってもそうであるとは限りません。むしろプラスになることも。

陰鬱なムード、不器用な戦闘、普通に怖い敵は、毎週新鮮な驚きを提供してくれました。掲載誌がジャンプでなければ、きっと結果も変わっていたのではないでしょうか。


つい懐かしくって文字数をオーバーしてしまいました。2作しかご紹介できず、やや消化不良ですが、まだまだ長くなりそうなので、続きは次回とさせていただきます。あしからず。

一応、予定としまして次回は『デビリーマン』『たくあんとバツの日常閻魔帳』+αを考えています。それでは・・・

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しめ
  • しめ ( )
  • マーケティング事業部のしめです。仕事以外の時間はほぼすべて猫に費やしています。奴隷のような暮らしを強いられていますが、猫に奉仕する幸せかみ締めてます。ちなみに飼い猫の名前も『しめ』です。

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